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新入社員研修の裏側をご紹介(リモート下で新入社員を受け入れた研修担当の奮闘記録!)

こんにちは、アプリケーションチームの山口です。
今回は、MOTEX(エムオーテックス)の開発本部内、LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版(以下、LANSCOPE クラウド版) 開発チームで行っているOJT研修について紹介します。

▼新入社員がOJT研修について書いた記事はこちら tech.motex.co.jp

新入社員研修の概要

MOTEXの研修期間は、4月から9月の6ヶ月間で、研修は「全体研修」「製品研修」「OJT研修」の3つに分かれています。それぞれの研修内容は以下となります。

全体研修(4月)

入社してから初めの1週間は、MOTEXが属する京セラコミュニケーションシステム(KCCS)グループの合同新入社員研修に参加し、ビジネスマナー研修や各種オリエンテーションを通じて社会人としての基礎を学びます。

製品研修(4月〜5月)

全体研修終了後の1ヵ月間では、MOTEXで取り扱っている製品の概要や基本的な機能について学びます。

OJT研修(5月〜9月)

製品研修終了後、新入社員たちは配属部署に分かれ、部署ごとの業務内容に沿ったOJT研修に入ります。

LANSCOPE クラウド版 開発チームのOJT研修内容

ここからは、開発本部のLANSCOPE クラウド版 開発チームで実施したOJT研修の内容についてご紹介します。OJT研修では、研修を通して新入社員に下記を身につけてもらい、研修後の開発現場で活躍してもらうことをゴールとしています。

  • 自ら進んで考え、行動できる開発者になる

  • 会社の一員として、自社製品を理解し、正しく伝えられるようになる

  • 開発チームの一員として、メンバーと協力し合い、プロジェクトを遂行できるようになる

  • AWSをはじめとする、サービスを構成する主要インフラを理解する

OJT研修では、「一気通貫テスト」「Scala学習」「プログラミング」の3つの研修を行いました。詳細をご説明します。

1.一気通貫テスト

まず初めに新入社員にチャレンジしてもらったのは、「一気通貫テスト」です。 「一気通貫テスト」とは、「LANSCOPE クラウド版」の基本的な機能を一通りテストする作業で、新しいバージョンのリリース前のテストなどで行われます。 「一気通貫テスト」を実施することで、これから開発に携わる「LANSCOPE クラウド版」の操作や仕様を理解してもらいました。

2.Scala学習

続いて、プログラミング言語「Scala」の研修を行いました。 「LANSCOPE クラウド版」は、いくつかのプログラミング言語を使用して開発していますが、主に使用している言語が「Scala」です。
そのため、「この後のプログラミング研修や実務で必要となるScala」の基礎を学んでもらいました。 研修内容は、「実践Scala入門」という参考書を読みこみ、研修担当が指定した一部の章について、「プログラミング経験はあるがScalaは全く知らない」という設定の相手を想定して説明資料を作成し、部署内で発表してもらいました。
この研修は毎年行っていますが、今年は、「Option / Either / Tryによる エラー処理」、「コレクション」という章についてそれぞれ説明してもらいました。

3.プログラミング

ここまで来たら、最後はいよいよ「プログラミング」に入ってもらいます!
開発チームのOJT研修で行う「プログラミング」は、

  • ペアプログラミングで開発する

  • 新入社員自身で完了納期と詳細スケジュールを引き、プロジェクト管理ツール 「Backlog」でスケジュール管理も行う

といった特長があります。 ペアプログラミングを体験してもらうのは、LANSCOPE クラウド版の実際の開発業務でもペアプログラミングを取り入れており、より実践的な開発体験をしてもらうためです。
また、プロジェクトのスケジュール管理までを新入社員に経験してもらうことで、開発業務のスピード感を理解してもらい、自発的にして自身のスケジュールを立てられるようになってもらうことを狙いとしています。 (もちろん、研修担当が適宜サポートします。)

ペアプログラミングについて

ペアプログラミングとは、一つのプログラムを二人で共同開発する手法のことです。二人同時にプログラミングしていくわけではなく、「ドライバー」と「ナビゲーター」に役割を分け、ドライバーはナビゲーターからの指示を受けてコーディングを行う担当、ナビゲーターは各工程で発生する問題の解決策やコーディングの内容を提案する担当としてプログラミングを進めていきます。 ペアプログラミングには、以下のようなメリットがあります。

  • 作業ミスの低減

    • ナビゲーターはドライバーが書いたコードの確認を行うため、一人で作業をしていると見落としてしまうような箇所に気づき、早期に問題解決につなげることができます。
  • 作業効率UP

    • コードを書いていて、処理の組み方などで悩んだ際に、自分とは異なる視点を持つ人物のアドバイスを聞いたり、二人で調査・対応することができます。
      一人で煮詰まってしまい作業が滞ってしまったり、一人で対応や調査に時間がかかってしまったりすることを避けることができ、作業時間の削減につなげることができます。
  • 知識向上

    • 二人で作業することにより、他者がどのようにコーディングしているかを知ることで、エンジニア同士でノウハウや知識を共有することができ、スキル向上につながります。
  • チームワークの向上

    • 二人で一つのものを開発することで、互いに補完しあいます。コミュニケーションを活発にとることが求められるので、メンバー同士の関係性構築につながります。

社内ツールの作成

開発チームでは今年は2人の新入社員を迎えました。2人には、OJT研修の集大成としてLANSCOPE クラウド版の運用に必要な社内ツールを作成してもらいました。

この社内ツールを作るために必要な工程は下記になります。

  • 1.AWS構成図の作成

  • 2.開発・テストのスケジュール作成

  • 3.開発

  • 4.テスト仕様書の作成

  • 5.テスト

  • 6.リリース

これらの作業工程の中で、研修担当側で用意したのは、「AWS構成図の作成」までで、その後のスケジュール作成から開発、テスト、リリース作業までの一通りの開発業務を新入社員に経験してもらいました。

研修担当の奮闘記

ここからは、研修担当側の目線で、研修の裏側で行ったこと、感じたことをいくつか紹介します。

新入社員の受け入れ準備段階

プログラミング研修の内容

プログラミング研修の具体的な内容は、毎年、開発チームの中で「LANSCOPE クラウド版をより良くするために必要なツールは何か」「研修に最適なプログラミング対象は何か」といった点を検討して決めています。 今年は、LANSCOPE クラウド版を“運用”するうえで必要となる社内ツールの作成を行いました。 今回は2人の新入社員を迎えたので、ペアプログラミング形式で、ドライバー役とナビゲーター役を適宜交代しながら作業をしてもらいました。

研修中のフォロー

今回の研修では、新入社員2人に対して、6人が教育を担当しました。 研修担当を2名ずつ日替わりでまわし、朝礼や夕礼、教育を進めることで、新入社員に早く部署に馴染んでもらうことや、部署のコミュニケーションの活性化も意識しました。 手厚い6名体制で、 scala発表での発表資料の添削や、プログラミング研修におけるコードレビュー、その他新入社員が研修中に感じた困りごとの解決するといったフォローをしました。

研修担当の所感

AWS Step Functionsでの試行錯誤

今回の研修で新入社員に作成してもらったツールでは、AWS Step Functions(以下Step Functions)というサービスを用いています。 そのため、OJT研修が始まる前に教育担当が集まって、AWSのコンソール画面上でStep FunctionsとAWS Lambdaを使って今回作成したツールの枠組みだけ仮実装を行いました。 当然一回作って動かすだけでは、エラーがでて動いてくれませんでしたが、そこは複数人の教育担当で調べて解決へ持っていくことができました。

研修でどこまでリモートワークを取り入れるべきかという難題に対して

MOTEXではテレワークを推進しており、基本的に開発業務はリモートで行います。しかし、リモートでの開発は、実務スキルとチームメンバーとの関係性が前提となるため、新入社員研修をリモートで実施するべきかどうかは迷いました。 そこで研修開始時に、新入社員の意見を聞いたところ、新入社員からは、やはり始めは顔を合わせて研修に取り組みたいと意見があったので、対面での研修から開始することにしました。 研修が軌道に乗ってきてからは、テレワークを取り入れながら研修を行いましたが、事前に対面で研修をしていたことで、関係性を構築したうえで問題なくリモートで開発を進めることができました。

どこまで教えて、どこからを新入社員に考えてもらうかの線引きが難しい...!

新入社員の質問に対して、答えをすべて教えてしまうと成長につながらないので、何を教えて、何を考えてもらうべきかのバランスを考慮しました。 指導方針としては、決まりごと(社内ルール、部署のルール)についてはすべて教えるようにして、それ以外はポイントだけ伝え、新入社員自身に検討・選択してもらいました。 その代わり、新入社員からの質問・相談には積極的に応じて、こちらが持っているノウハウは伝えつつ、新入社員自身の意思を尊重するよう心がけました。
その結果、新入社員は研修終了後から主体的に業務に取り組んでおり、部内での新入社員の評判もすごく良いものになりました。

おわりに

本記事では、2022年のMOTEX開発本部でのOJT研修について、研修担当者目線で紹介しました。 研修では、新入社員同士でペアプログラミングを実施してもらうなど、実際の開発作業と同じ環境を体験してもらい、現在、実務にスムーズに入ってもらっています。
新入社員からも今回のOJT研修について、「初めに対面で接していただいたこともあって、オンラインに切り替わった後も、気兼ねすることなく質問できる雰囲気が良かったです。」、「毎日、朝夕礼をしていただいていたので、課題などを抱え込まずに最後まで研修をやり遂げることができ、自分の自信に繋げることができました。」などの声を聞くことができ、研修担当としても嬉しい限りです。
実際、自分も研修が終わった後の新入社員と一緒に仕事をしていると、自分で考えたことを積極的に周りに伝えて、その結果、新入社員の案が実際の製品内にも採用されるなど、入社半年とは思えないほど活躍していてすごいと感じることが多々あります。
また、今回研修で新入社員の2人が作った社内ツールは、主にマーケティング本部のメンバーが使用しており、社内で好評でした。
研修担当として、私自身、普段自分がなんとなく分かったつもりでいることを、新入社員に聞かれたり教えたりする際に、改めて調べ直したりするなど、新しい発見がある学び直しの場にできたので、良い経験になりました。