はじめに
こんにちは、SREグループの植松です。2025年3月にAWS認定資格を全て合格し、この度2025 Japan AWS All Certifications Engineersに選出されました。AWS認定合格全冠を目指す方の参考になればと思い、どのように準備をしてきたかを今回の記事で共有させていただきます。
AWS全認定資格を目指した動機
私は中途採用でエムオーテックスに入社しましたが、入社当時はAWS関連の知識が浅かったです。AWSに関する知識を学習し、認定に合格することで自信をつけるとともに業務に活かしたいという思いで学習を始めました。
当初はAll Certifications Engineers選出を目指しておらず、半期に1 ~ 2つ資格を取るというような目標を立てていました。取得資格数が半分を超えた2024年ごろから、全認定合格を意識して取り組み始めました。
受験スケジュール
それぞれの資格を受験した日は以下のとおりです。先述の通り2024年から全認定合格を意識したので、後半になるにつれて間隔を狭めたり同日に複数受験して追い込みをかけました。
資格名 | 合格日 |
---|---|
AWS Certified Solutions Architect - Associate (SAA) | 2020-06-21 |
AWS Certified SysOps Administrator - Associate (SOA) | 2021-09-25 |
AWS Certified Developer - Associate (DVA) | 2021-12-11 |
AWS Certified DevOps Engineer - Professional (DOP) | 2022-03-26 |
AWS Certified Security - Specialty (SCS) | 2022-07-20 |
AWS Certified Solutions Architect - Professional (SAP) | 2023-02-11 |
[廃止]AWS Certified Database - Specialty (DBS) | 2023-07-29 |
[廃止]AWS Certified Data Analytics - Specialty (DAS) | 2024-02-17 |
AWS Certified Data Engineer - Associate (DEA) | 2024-07-28 |
AWS Certified Machine Learning - Speciality (MLS) | 2024-10-19 |
AWS Certified Advanced Networking - Specialty (ANS) | 2025-01-05 |
AWS Certified AI Practitioner (AIF) | 2025-01-18 |
AWS Certified Cloud Practitioner (CLF) | 2025-01-18 |
AWS Certified Machine Learning Engineer - Associate (MLA) | 2025-02-08 |
[失効のため再受験]AWS Certified DevOps Engineer - Professional (DOP) | 2025-03-15 |
DevOps Engineer - Professional(DOP)については再度受験しています。申し込み期間は2025年3月3日 ~ 4月3日でしたが、申し込み時点で資格が有効であること、尚且つ 審査期間の2025 年 4 月 30 日まで有効である必要があることが条件であるため、2025年3月26日に失効するDOPを泣く泣く再受験しています。審査期間も含めて有効であることは例年同じ条件なので、選出を目指す方は注意いただければと思います。
勉強方法
それぞれの認定についてどのように勉強を進めていったかを紹介します。
AWSコンソールで実際にサービスを触ってみる
「業務に活かしたい」というのが認定合格の大きなモチベーションだったので、知識を詰め込むだけでなく各種AWSサービスを自分で触ってみることが大事と考えました。そのため個人利用のAWSアカウントを作成し、その中で業務で関わったことがないサービス中心に確認していました。
AWSは無料利用枠もあるため請求はほとんどかからず、おおよそひと月あたり数$程度でした。ただ、設定するだけで料金が発生するサービスもあるため、使い終わったらリソースを削除する・停止するといったことは注意した方が良いと思います。私もMachine Learning Specialtyの勉強時、SageMaker Canvasを停止せずに放置していたら1万円ほど請求されたことがあります。痛い出費ではありますが、なぜコストが発生するのかを身(銭)をもって知り、サービスの理解が深まったのは良かったと思います。
なお、他社の方の記事ですが、このような事例も見つけました。: SageMakerを触っていたらいつの間にか10万円請求された話 #AWS - Qiita
Black Beltの動画を視聴する
業務で関わりが無かったり、ほとんど知らないサービスについてはBlack Beltのオンラインセミナー動画も視聴していました。
ネットワーク関連の知識が薄かったのでAWS Direct Connect、AWS Site-to-Site VPN、Amazon Route 53、AWS Transit Gatewayなどのサービスは特に見返していました。Black Beltの動画はほぼ全てのAWSサービスを網羅していますが、ごく稀に現役のサービスの動画が無かったりするので注意が必要です。本記事執筆時点(2025/6)では、CodeCommitやElastic Beanstalkの動画は見つけられませんでした。
問題集
AWSの公式や外部の問題集を活用しました。AWS公式問題はそれぞれの認定資格ごとに20問用意されています。個人的な体感としては実際の試験よりも難しく感じました。AWS公式問題で合格ラインを上回るくらい正解できればまずまず安心できると思います。
AI活用
模擬試験問題を解く際に社内AIサービス「Smartばんにゃ」を活用し、効率化を図りました。Smartばんにゃは、Azure OpenAI Service を利用したチャットボットとして利用できるMOTEX内製のツールです。
主な使い方としては以下の通りです。
問題の解説
- 問題集にも解説はありますが、それを読んでも理解が追いつかない場合は、「⚪︎⚪︎⚪︎初心者にもわかるように例を交えて教えて!」などのプロンプトで得られた解説文を参考にしました。
問題を解く際のヒント提供
- 「選択肢を4つ -> 2つに絞って!」や「ささやかなヒントを出して!」といったプロンプトでヒントを得つつ、問題を解きました。選択肢を減らす理由はサクサク問題を解きたかったからというのもありますが、「選択肢を減らした上でなおも間違えた問題については、理解が足りてない分野だろう」という予想のもと苦手分野を炙り出すためでもあります。
選択肢を減らすプロンプトだと、稀にハルシネーション(事実に基づかない情報を生成すること、この場合は2択に絞った結果に正解が含まれないこと)が起きていたので、ヒントを出してもらうプロンプトの方が利用頻度は多かったと思います。


ブログ
インドを拠点とするソリューションアーキテクトの方のブログを紹介します。各認定資格でどのようなことが問われるかを詳細にまとめてあり大変参考になりました。
試験の体験談
実体験をベースに、試験を受ける前、試験中に気をつけた方が良いと思ったことをまとめます。
試験を受ける前に気をつけたこと
認定資格を受ける際、テストセンターもしくはオンライン受験の予約をすることになりますが、すぐに予約が埋まりがちなのでなるべく早めに予約することが望ましいと思います。時期にもよりますが具体的には試験予定日の3週間くらい前に予約することをお勧めします。
オンライン受験かつ、試験監督者の言語が「英語」であれば予約の空きは多くなる印象があります。もちろん試験前のチェックイン等のやり取りは英語でする必要がありますが、発音が聞き取りづらい場合などはチャットベース(英語)に切り替えてくれるなど、ある程度融通が利くと思います。
試験中に気をつけたこと
ProfessionalやSpecialityの試験は問題の文章量が多く、1問解くのにも時間を要するため「1問あたりにかけられる時間」を意識することが大事だと思います。Solution Architect Professionalでは180分で75問解くことになり、単純計算で1問あたり144秒(2分ちょっと)かけられることにはなります。ただ、その通りにすると見直す時間がないので実際は2分で解くくらいのつもりで臨んでいました。
テストセンターとオンライン受験の違いについても触れたいと思います。テストセンターでの受験時はトイレ退出OKです。ただしトイレ退出中も試験の持ち時間は減ります。オンライン受験の場合はトイレ退出できません。オンライン試験中に監督者にチャットでトイレに行きたい旨を申し出たところ「不正行為と見なされるため、本当に心苦しいが我慢してほしい」とのことで断られました。
他にも、オンライン受験の場合は、チェックイン手続きとして顔写真や受験スペースの確認などがあります。受験スペースの確認ではウェブカメラまたはスマートフォンのカメラで受験スペースの全体がわかる画像、左右がわかる画像などを撮るように指示がされます。壁に物があったり、貼り紙がある場合は映らないようにどかすよう指示されるので、部屋を片付けるかネットカフェの個室ブースなど家以外の場所で受験することをお勧めします。また、物や貼り紙がないからといって、トイレや浴室での受験は禁止されています。
また、テストセンターの場合は空調の温度調整は難しいと思いますが、オンライン受験の場合は、暖房が効きすぎているので下げたいなどの理由を監督者に申し出ることで、自室の空調を調整できます。
業務への活用例・全て合格した後の変化
業務をする中で全く知らないサービスというのはなくなったというのが大きな変化だと思います。また、各サービスの知識の引き出しが増えることで必要な時にすぐ取り出すことができるようになりました。SREチームではアプリ開発チームの設計やアーキテクチャをレビューすることも多いのですが、レビュー時にその都度検索することなく効率的に進められるようになりました。
ネットワーク系のサービスは業務であまり触れないということもあり苦手意識を持っていたのですが、PrivateLinkの検証を行うなどこれまで触ったことがないサービスにも関われるようになり、業務の幅が広がったようにも感じます。
今後の目標
変わりゆく技術トレンドやAWSサービス追加に追従するということもあってか、AWS認定資格は定期的に見直しがかけられており、資格の廃止や新規追加がよく行われています。
去年の例だと、以下の資格が廃止されました:
- AWS Certified Data Analytics – Specialty (DAS)
- AWS Certified Database – Specialty (DBS)
- AWS Certified: SAP on AWS – Specialty (PAS)
そして、以下の資格が新たに追加されました:
- AWS Certified Data Engineer - Associate (DEA)
- AWS Certified Machine Learning Engineer - Associate (MLA)
- AWS Certified AI Practitioner (AIF)
今後もAWS認定資格は見直されていくと思いますので、新しく増えるであろう資格についても合格するとともに業務に活かしていきたいと思います。
資格取得支援制度
こちらの記事でも紹介されているように、エムオーテックスでは資格取得の支援制度があります。自己啓発として取得した資格についても、社内で承認されたものであれば受験費用(合格した場合のみ)や奨励金をいただくことができます。
具体的な金額は伏せさせていただきますが、AWS認定資格それぞれに奨励金が設定されており、それら全てを合格することでなかなかの金額になりました。お金のために始めたわけではないですが、いただけるのはありがたいことなので全認定合格を頑張る上でのモチベーションの一つにはなりました。
終わりに
AWS認定資格の全冠を達成するまでの道のりは決して平坦ではありませんでしたが、その過程で得た知識と経験は貴重なものとなりました。エムオーテックスの支援制度や社内のリソースを活用しながら、目標に向かって努力を続けることができたのは大きな励みとなりました。
今後もAWSの新しいサービスや技術トレンドに追随し、さらなるスキルアップを目指していきたいと思います。この記事が、AWS認定資格を目指す方々の参考になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。