
はじめに
こんにちは。サービス開発1部エキスパートの桑名と小沼です。
私たちは2025 Japan AWS Top Engineerに選出いただき、Top Engineersに向けたAWSのイベントに参加する機会を得られています。
その中の一つとして「Well-Architected Mini Bootcamp セキュリティの柱編」があり、2人で参加しました。
実際にWell-Architected Mini Bootcampを体験し、「これは社内でも実施できそうだし、ぜひ実施したい」と考え、社内で開催することにしました。
本記事では、社内でWell-Architected Mini Bootcampを開催した経緯と工夫した点、そして得られた成果について紹介します。
- はじめに
- 開催の背景と目的
- AWS Well-Architected Framework とは
- Well-Architected Mini Bootcamp の概要
- 社内開催に向けた準備
- 開催内容
- 参加者の声・成果
- おわりに
開催の背景と目的
エムオーテックスでは新機能などの開発を進める際に、既存のアーキテクチャに倣って作るということがよく発生していました。
しかし、アーキテクチャは年月とともに劣化しますし、その時々によって選択するべきアクションは違っていると思います。
そういう時に選択の参考になるのがWell-Architected Framework(以下、W-A)だと考えています。
今回のWell-Architected Mini Bootcamp(以下、Mini Bootcamp)開催の目的は、参加者がW-Aを意識するきっかけになればというところでした。
AWS Well-Architected Framework とは
AWS Well-Architected Frameworkは、AWSクラウド上でシステムを設計・運用する際のベストプラクティスをまとめたフレームワークです。
以下の6つの柱で構成されています:
- オペレーショナルエクセレンス: システムの運用と監視
- セキュリティ: データとシステムの保護
- 信頼性: システムの回復力と可用性
- パフォーマンス効率: リソースの効率的な使用
- コスト最適化: 不要なコストの回避
- 持続可能性: 環境への影響の最小化
Well-Architected Mini Bootcamp の概要
Mini Bootcampは、Well-Architected Frameworkの各柱について、グループワーク形式で学ぶワークショップです。
参加者は架空のシナリオに基づいて、アーキテクチャの課題を特定し、改善案を検討・発表します。
座学だけでなく、実践的なディスカッションを通じてW-Aの考え方を体験できるのが特徴です。
社内開催に向けた準備
シナリオの入手
Top Engineers向けのMini Bootcampイベント終了時に、W-Aの他の柱用のMini Bootcamp用のシナリオが配布されました。
これを活用して、社内ではコスト最適化の柱について実施することにしました。
コスト最適化の柱を選んだ理由は、過去のモブコスト分析や、エムオーテックスでコスト最適化を推進している植松さんの働きかけで社内のコスト意識が高まっており、最初に取り組むテーマとして最も馴染みやすいと考えたためです。
工夫した点
社内開催にあたり、以下の点を工夫しました:
1. オフライン開催の実施
対面でのディスカッションを重視し、オフラインでの開催にこだわりました。
執務フロアとは別に社内会議室を1つ占有し、集中できる環境を確保。
東京メンバーとも日程を調整し、出張していただくことで、全員が同じ場所で議論できる環境を整えました。
2. レベル感が近い人たちをチームに編成
レベル差が開きすぎて発言の機会が減らないように、経験やスキルレベルが近いメンバーでチームを構成しました。
3. 各課の業務に配慮したグループ構成
各課の通常の業務が滞ったり、気にせず取り組むことができるよう、課のメンバーが全員抜けるようなグループ構成にはしないように配慮しました。
4. ファシリテーター側の事前準備
発表の時に適切なコメントができるように、私たち2人に加えて植松さんにも参加いただき、3名で事前にコスト最適化の柱のシナリオに取り組みました。
開催内容
社内では3回に分けてコスト最適化の柱についてMini Bootcampを実施しました。
開催概要
- 所要時間: 4時間
- 参加人数: 各回9〜10名(全体で29名)
- チーム構成: 1チーム3〜4名
各回の流れ
基本的な流れは本家のMini Bootcampと同じ形式で実施しました。
本家は3時間でしたが、弊社では4時間に設定し、追加の1時間をチームディスカッションとQAの時間に充てることで、より深い議論ができるようにしました。
- 導入: Well-Architected Frameworkの柱の説明とMini Bootcampの進め方を説明
- シナリオ提示: 架空のシステムとその課題を提示
- チームディスカッション: チームごとに課題を分析し、改善案を検討
- 発表&QA: 各チームの検討結果を発表し、参加者全員で質疑応答
- クロージング: ベストプラクティスの振り返りや、自社プロダクトのコスト関連情報を共有
当日の様子



参加者の声・成果
事後アンケートでは、以下のような成果が得られました:
満足度
3.96 / 4.0 という高い評価をいただけました。
意見の出しやすさ
「自分の考えを話せたか」という設問では、ほとんどの人が「よく話せた」または「まぁまぁ話せた」と回答してくれました。
レベル感が近い人たちをチームにしたという工夫が功を奏したと考えています。
参加者の具体的な気づき
アンケートから、参加者が得た具体的な気づきをいくつか紹介します:
Well-Architected Frameworkへの理解
「今までWell-Architectedについて深く学ぶ機会がなかったから、改めて学ぶきっかけになった」
「Well-Architected Frameworkをみたことが無かったので、例えば設計レビューなどに活かせそうに思いました」
「個々のWell-Architectedの柱のベストプラクティスの詳細を読んだことはなかったので、いい機会になった」
コスト最適化への意識変化
「使用しているEC2、RDS、Elasticsearchのサイズについてはそれが妥当なものかの検証ができていないと感じた。見直せたら見直したい」
「コスト低減は考えつつも最適化という観点ではあまり考えていなかったので、要件検討時には取り入れます」
「意識としてコスト改善に取り組んでいきたいと考えるようになりました」
実務への活かし方
「Trusted AdvisorやCompute Optimizerから各リソースの最適化についての情報を得られることについて初めて知りました」
「コスト改善のためにまず現状把握をしたり、定期的に見直すのが大事だと学べました」
「実際にかかっているAWSコストだけでなく、運用コストについての視点を学べたので、課の業務に活かせそうだと思いました」
やってみたいこと
参加者からは以下のような具体的なアクションが挙げられました:
- 「各リポジトリのコストを把握するためにタグを付ける」
- 「常時稼働しているECSのAutoScaling化やサーバレス化」
- 「課でコストの確認や現状のリソースの見直しはまずやってみたい」
- 「Trusted AdvisorやOptimizerを定期的に確認したい」
今後への期待
- 「他の柱についてもやってみたい」という声を多数いただきました
- 「自分たちが運用しているサービスでもコストの最適化について考えていきたい」
このように、当初の目的であるW-Aを意識するきっかけを提供できたと感じています。
おわりに
今回は社内で初めてMini Bootcampを開催しました。
参加者から「他の柱についてもやってみたい」という声をいただいたので、今後は他の柱(セキュリティ、信頼性など)についても順次開催していきたいと考えています。
エムオーテックスでは、このような知識共有の取り組みを通じて、チーム全体の技術力向上を目指しています。
もし皆さんの会社でもWell-Architected Frameworkの浸透に興味があれば、ぜひMini Bootcampの開催を検討してみてはいかがでしょうか?
今回、私たちは自分たちで運営しましたが、AWSパートナー向けには様々な特別トレーニングが提供されています。
こうしたサポートも活用しながら、ぜひ取り組んでみてください。