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UXデザイナーがAI-DLC Unicorn Gymに参加して気づいたこと - AI開発で活きる視点

UXデザイナーがAI-DLC Unicorn Gymに参加して気づいたこと - AI開発で活きる視点

はじめに

こんにちは。UXデザイナーの増田です。
2026年7月に、AI-DLC Unicorn Gymに参加させていただく機会がありました。

本記事では、UXデザイナーとしてAI-DLC Unicorn Gymに参加した経験から、以下の気づきを紹介します。

  • AIを活用した要件定義のスピードに対応するための事前準備の重要性
  • AIの出力に対する「違和感」をチームに共有することの大切さ
  • デザイナーが上流工程に入る意義と、関わり方のバランス
  • 仮説検証のサイクルを回す前提で動くこと

AI-DLCへの参加を検討しているデザイナーや、部門横断チームでの開発プロセスに関心のある方の参考になれば幸いです。

AI-DLC Unicorn Gymとは

AI-DLC(AI-Driven Development Life Cycle)は、AWS社が提唱するAIを活用したソフトウェア開発手法です。
Unicorn Gym(以下、Gym)は、AI-DLCの手法を実際のプロダクト開発に適用する2日間のプログラムで、今回は複数社合同での開催でした。
同じGymに参加したテックリードによる記事も公開されていますので、あわせてご覧いただけると幸いです。

tech.motex.co.jp

今回の参加について

今回は開発チームからの誘いがきっかけで、UXデザイナー(以下、デザイナー)として参加しました。
チームはエンジニア5名、PdM1名、デザイナー1名、QA1名の計8名で、自社プロダクトの既存機能をユーザー視点で再設計することが題材でした(題材は参加企業ごとに異なります)。

短期間で要件定義からプロトタイプまでを一気に駆け抜けるため、普段のプロジェクトとはまったく異なるスピード感でした。
2日間で、ユーザーストーリーの作成からUI設計、Figmaによる画面プロトタイプ、実装まで一気通貫で体験することができました。

AIを活用した要件定義の速さを体感した

通常のプロジェクトでは、要件定義やユーザーストーリーの作成に1週間単位で時間がかかります。
しかし今回は、AIを活用したInceptionプロセスによって、それが驚くほどのスピードで進みました。 この速さ自体は大きな可能性を感じた一方で、スピードについていくための「事前準備」の重要性を痛感する結果にもなりました。

また、要件定義が高速で進むからこそ、「ではUIはどうする?」を考える時間をどこで確保するかは意識しておきたいポイントです。
要件が固まるスピードにUIの検討が追いつかないと、十分に咀嚼しないまま形にしてしまうリスクがあります。
デザイナーとしては、要件定義のスピードを活かしつつ、UIを考える余白を意図的に設けるバランス感覚が求められると考えています。

「2日間」という制約の中で生まれた課題

今回のGymは2日間という限られた時間の中で進めるプログラムでした。
この制約があったからこそ感じた焦りや、そこから生まれたつまずきがいくつかあります。

ユーザーストーリーの解像度とAI生成モックアップの関係

2日間のスピード感の中では、ユーザーストーリーをじっくり深掘りする余裕がなく、
機能の解像度が上がりきらないまま進む場面がありました。 興味深かったのは、AIが生成したユーザーストーリーやモックアップに対して
「言っていることはわかるけど、しっくり来ない」という感覚が残ったことです。
文章としては整っているし、ロジックも通っています。
でもデザイナーとして普段ユーザーに向き合っている肌感覚とは、どこかズレがあるような気がしていました。

具体的には、ユーザーが現在感じている使いづらさを改善できていない構成になっていると感じる部分がありました。
「ユーザー目線で自然な流れになる構成にすべきでは」という考えがありましたが、
その「ピンと来てなさ」をチームに共有する時間的余裕がなく、そのまま流れてしまいました。

最終的には、ホワイトボードに自分のUIイメージを描き出すことでメンバーとの認識合わせを図りました。
振り返ると、このイメージがモックアップに反映されていなかった背景には、
ユーザーストーリーやユーザー理解を十分に深めきれなかったことも一因としてあったと考えています。
AIが高速にアウトプットを出してくれる環境だからこそ、インプットの質は結果を大きく左右します。
同時に、AIの出力をそのまま正解とせず、人が評価・検証することも欠かせません。 このギャップを言語化してチームに伝える力が、AI活用時代のデザイナーには求められるのかもしれません。

違和感はチームにとっての貴重なシグナルです。
違和感を具体的な仮説として言語化し、利用データやユーザー検証を通じて確かめることが重要だと改めて感じました。
次回は時間がなくても、「まだしっくり来ていない」のであればそれを伝えるタイミングを意識的に作りたいと思います。

既存機能のデータを手元に用意しておくとスムーズ

短期集中型のワークでは、議論の中で「この機能って実際どう使われているんだっけ?」という問いが頻繁に出てきます。
たとえば、複数の利用経路がある機能の場合、設定項目として存在していることと、
特定のユースケースで実際に活用されていることは別の話です。 こうしたデータをその場で調べている余裕はないので、

対象領域の利用状況や関連データは、事前にサッと参照できる形で手元に準備しておくと、
議論のスピードを落とさずに意思決定できると感じました。

たとえば、以下のような情報を手元にまとめておくとスムーズです。

  • 対象機能の利用状況(アクセス数、利用率など)
  • 主要なユースケースと利用導線
  • ユーザーから上がっている課題や要望
  • 技術的・ビジネス的な制約条件

デザイナーがAI-DLCに参加する意義

今回参加してみて、デザイナーがこうしたプログラムに入ることには大きな意味があると感じました。

UIの意思決定を早められる

Inceptionの段階からデザイナーがいることで、
「この要件だとUIはこうなりそう」「この方向だとユーザー体験が破綻する」といった
フィードバックをリアルタイムで返せます。
後工程でデザインレビューを挟む場合と比べて、手戻りのリスクを減らせると感じました。

上流工程を短期間で体験できる

普段の業務では要件定義に直接関わる機会が限られるデザイナーも多いと思います。
AI-DLCでは、ユーザーストーリーの作成から一気通貫で関わるため、ビジネス要件とUI設計をつなげて考える力が自然と鍛えられます。

また、エンジニアやPdMと同じスピード感で動くことで、「どこまで決まっていれば実装に入れるか」といった感覚が体験として身につきます。 デザイナーにとってAI-DLCは、単にUIを作る場ではなく、
プロダクト開発の全体像を体感しながら自分の役割を再定義できる場だと感じました。

Inceptionの「途中まで」でいいのか問題

デザイナーがInceptionのどこまで参加すべきかは、プロジェクトの性質によって変わると思います。
今回の経験では、UIに関わる判断が必要だったのはInceptionの段階で、Constructionではほとんど出番がありませんでした。
必ずしも最初から最後までフル参加する必要はなく、必要なタイミングで集中的に関わる形でも成立しそうです。
複数プロジェクトを並行して回す場合は特に、「どこで入ってどこで抜けるか」を事前に決めておくとチームとしても動きやすくなります。

仮説は外れる前提で、検証を回すことが大事

社内メンバーだけで作ったユーザーストーリーは、どうしても仮説の域を出ません。
今回もモックアップに違和感を覚えたように、実際のユーザーに当てていない以上、
どこかにズレがある前提で進めざるを得ない部分があります。

では、そのズレをどう埋めるのか? 「ユーザー検証を事前に済ませておくべきなのか?」という疑問が残りました。
今回のGymではユーザー検証まで実施したわけではありませんが、質疑では、まずモックアップを作成し、ユーザーから得られたフィードバックを次のサイクルで反映する進め方も紹介されました。

今回まさに、ストーリーの解像度が低いままモックアップが生成されて「なんか違う」が発生したわけですが、
それ自体が悪いことではなく、「違うとわかったら直せばいい」というサイクルの一部として捉えればいい。

完璧なインプットを用意してから動くのではなく、まず形にして、ぶつけて、ズレを見つけて直す。これを何回転もさせることに価値があるのだと。 この考え方を持てば、次回は「まず出してみて、次のサイクルで磨こう」と切り替えられるはずです。

AI-DLCのスピード感を活かすには、一発で正解を出そうとするのではなく、
検証のサイクルを高速に回す前提で動くことが肝心だと実感しました。

もちろん、サイクルを回すことと、インプットの質を上げることは両立させたいところです。
今回の経験を通じて、自分自身のユーザー理解をもっと深めたいという気持ちも強くなりました。
回すスピードと、一回ごとの精度。どちらも高めていくことで、AI-DLCの効果をさらに引き出せるようになると思っています。

まとめ:次回に向けて

終了後の懇親会で他社の参加者と話す機会がありましたが、
悩んだポイントや乗り越え方が驚くほど共通していて、共感の場になりました。
職種や業界が違っても、短期集中でプロダクト開発に取り組むと同じところでつまずくのだなと。
この「自分だけじゃなかった」という感覚を得られたことも、Gymに参加した大きな価値だったと思います。

次回同様の取り組みに参加する際は以下を意識したいと思います。

  1. 事前準備を怠らない ― 対象ドメインの基本情報や利用状況は事前にインプットしておく
  2. 違和感は即座に共有する ― 時間がなくても「ピンと来ていない」を伝える
  3. 完璧を求めず回す ― 仮説が外れても、形にして検証するサイクルを優先する
  4. UIを考える余白を意図的に設ける ― 要件定義のスピードに流されず、デザインを咀嚼する時間を確保する

AIが高速にアウトプットを出し、人間がそれを判断して方向づけるという
AI-DLCならではのプロセスだからこそ得られた気づきでした。
AI-DLCを実務に取り入れていく中で、ここでの学びが活きてくると思っています。

おわりに

最後までお読みいただきありがとうございました。
AI-DLCに興味のある方、特にデザイナーとして参加を迷っている方の背中を少しでも押せたら嬉しいです。