はじめに
こんにちは。アプリケーションチームの都です。
今回は、エムオーテックスの開発本部で実施した2024年の新入社員向けOJT研修について、研修担当者の視点から紹介したいと思います。
- はじめに
- 新入社員研修の概要
- OJT研修達成目標
- OJT研修の1日のスケジュール
- AWS JumpStartでAWSの学習
- 一気通貫テスト
- Scala学習
- プログラミング研修
- 研修担当が意識したポイント
- 研修全体を通しての反省点
- おわりに
新入社員研修の概要
エムオーテックスの研修期間は、4月から9月の6ヶ月間で、研修は「全体研修」「製品研修」「OJT研修」の3つに分かれています。それぞれの研修内容は以下となります。
全体研修(4月)
入社して初めの1週間は、エムオーテックスが属する京セラコミュニケーションシステム(KCCS)グループの合同新入社員研修に参加し、ビジネスマナー研修や各種オリエンテーションを通じて社会人としての基礎を学びます。
製品研修(4月〜5月)
全体研修終了後の1ヵ月間では、エムオーテックスで取り扱っている製品の概要や基本的な機能について学びます。
OJT研修(5月〜9月)
製品研修終了後、新入社員たちは配属部署に分かれ、部署ごとの業務内容に沿ったOJT研修に入ります。
OJT研修達成目標
OJT研修では、以下の4つの目標を掲げ研修を進めました。
チームの一員としてコミュニケーションを取り、主体的に開発を行えるようになる
AWSをはじめとする、開発現場で必要な知識・技術を習得し、即戦力となることを目指す
LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版の開発者として、プロジェクト遂行に必要な製品知識を得る
開発したプロダクトを世に出し、ユーザーに利用してもらい達成感を味わう
以上のスキルを身につけ、いち早く開発の現場で活躍してもらうことを目的としました。
OJT研修の1日のスケジュール
OJT研修の1日のスケジュールは以下のようになります。
朝礼で一日の目標を設定して、昼礼・夕礼で進捗確認と明日のスケジュール確認を行います。
リモートによる研修なので、細かな進捗共有を意識して報告の場を多く設けました。
AWS JumpStartでAWSの学習
まず初めに新入社員にはAWSの基礎知識を学んでいただきました。昨年はUdemyの自主学習を行っていただいたのですが、今年はAWS様が提供する「AWS JumpStart」に参加し、AWSの基礎知識を身につけていただきました。
参加報告の詳細については以下の記事をご参照ください。
「AWS JumpStart」は実践を重視したハンズオン形式の研修で、座学だけでなく実際にAWSのサービスを操作しながら学べるのが魅力で、AWSの基礎学習としては最適だったと感じています。
一気通貫テスト
次に「一気通貫テスト」に取り組んでいただきました。 「一気通貫テスト」とは、LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版(以下LANSCOPE EM クラウド版)の基本的な機能を一通りテストする作業で、新しいバージョンのリリース前のテストなどで行われます。 「一気通貫テスト」を実施することで、新入社員はLANSCOPE EM クラウド版の操作方法や仕様を実践的に理解できます。
Scala学習
続いて、LANSCOPE EM クラウド版で主に使用している言語である「Scala」の学習を行いました。学習では参考書『実践Scala入門』を読みこみ、基礎を学んでいただきました。
また、関数型プログラミングの考え方に慣れるため、社内で作成したScala基礎のナレッジをもとに様々な演習に取り組んでいただきました。実際にサンプルコードを書きながら学ぶことで、参考書を読んだ時よりもさらに知識が身についたと思います。
プログラミング研修
最後にプログラミング研修として、お客様のサポートを行っているテクニカルサポート部で使用されるツールをScalaで開発いただきました。開発は実際の業務と同様にモブプログラミングで行い、設計からリリースまでの一連の流れを体験してもらいました。
モブプログラミングは、複数の開発者が一つのコードを共同で作成する手法です。この方式を採用したことで、新入社員同士の知識共有が促進され、チームワークの向上にもつながりました。
設計フェーズでは、実際の利用者へのヒアリングも行いました。出力結果やエラー表示など「利用者にとって使いやすいツール」を考え、ユーザー視点に立ったツール開発ができました。
研修担当が意識したポイント
昨年との変更点
研修内容は昨年と同様のプロットを踏襲しているのですが、実際に手を動かして理解してもらうという部分を意識して研修スケジュールを計画しました。前段で紹介した、AWS学習やScala学習では昨年から変更してイベントに参加したり、手を動かして演習問題を解くなど、座学だけでなく実践的な要素を取り入れました。
KPTで現状を見つめ直す
研修の途中で、担当者全員でKPTを実施しました。Keep(継続)、Problem(課題)、Try(挑戦)の観点から、現状を見つめ直しました。KPTは、現状を客観的に評価し、改善点を見つける上で有効な手法です。研修の途中で実施したことで、新入社員の理解度や課題を把握でき、後半の研修内容を適切に調整することができました。
質問しやすい雰囲気づくり
研修担当として、新入社員にどこまで教えたら良いのか、そのバランスを取るのが難しいと感じる場面が多々ありました。研修担当側からすべて教えるのではなく、分からなかったら質問して疑問を潰していくという習慣を身に着けて欲しかったため、質問しやすい雰囲気づくりに努めました。具体的には、研修担当者が手が空いている時はできる限り新入社員の近くにいて声をかけやすい環境を整えたり、チャットに質問ボタンを設置して気軽に質問できるようにしたりしました。
質問ボタンの設置は新入社員から好評で、質問のハードルを下げることができました。新入社員が積極的に質問をし、疑問点を解消できる環境づくりが重要だと感じました。
研修全体を通しての反省点
研修は概ねスケジュール通りに進めることができましたが、全体を通して新入社員と研修担当とのコミュニケーションが不足していたと感じました。オンラインでの研修だからこそ、コミュニケーションを密に取ることが重要であると思います。実際、朝夕礼と質疑応答といった最低限のコミュニケーションにとどまっていたため、新入社員の状況を細かく把握し、適切なフォローができていなかった部分がありました。そのため、定期的な振り返りの場を設けてコミュニケーションを図るなどの施策が必要であったと思います。
おわりに
本記事では、2024年のエムオーテックス開発本部でのOJT研修について、研修担当者視点で紹介しました。
今回の研修を通して、新入社員は着実にスキルアップできたと思います。特に研修の後半では、今まで教えたことをしっかりと吸収し、自らの力で問題を解決する姿勢が見られ、開発スピードも飛躍的に向上していったと感じています。実際の業務に入って活躍する姿を見るのが非常に楽しみです。
今回はじめての研修担当で試行錯誤をしつつ取り組んだため、私自身も多くのことを学びました。研修の準備や進行において、どのように新入社員にわかりやすく伝えるか、進捗遅れをどのように軌道修正するか、様々な面で工夫が必要でした。その過程で、自分自身の指導力やコミュニケーション能力も向上できたと感じています。
これからも新入社員の成長を見守り、さらなるサポートを続けていきたいと思います。