
はじめに
こんにちは! 品質管理部の立古です。
私はバリバリ開発活動を行う現場エンジニアではないのですが、各チームのエンジニアが能力をいかんなく発揮できるよう、社内制度や運用の整備、契約の管理などを行っております。
さて、当社では自社サービスを開発、提供するにあたり、基盤となるパブリッククラウドサービス(IaaS)を利用しています。なかでも特に Amazon Web Services(AWS) を多用しており、この MOTEX TECH BLOG においても多種多様な活用記事を公開しております。
今回は、多様なパブリッククラウドサービスがある中で当社が AWS を重用する理由について、 技術的な視点とは少し異なる、管理視点での解説ができればと思います。
AWSの強みは情報提供力
パブリッククラウドサービスを選定するにあたり、サービスの充実や性能の優位性、コストの安さなど考えられますが、 当社がAWSを重視するのは、単にそういった機能だけが優れているからではありません。
パブリッククラウドサービスを選択するにあたり、サービス提供者からの情報提供力は重視すべきだと考えています。 なぜなら、サービスの内部仕様はサービス提供者側にしかわからないからです。
サービスを有効活用し、優れたサービスを提供するには、当社エンジニアの実力だけでは不十分です。 サービス提供者からの情報提供やサポートを重視しています。
情報提供力という観点でAWSを評価できる部分を、以下の2点から紐解きたいと思います。
- サポートサービス
- サポート以外の技術支援
AWSのサポートサービス
サポートサービスに関しては、個々のサポートエンジニアが持つ技術力もさることながら、 メニュー・システムの視点で、以下の2点が優れたポイントだと考えています。
- 定額で制限なく相談できる
- エンジニアの使い慣れたUXで相談できる
一般的なサポートサービスでよくあるEメールや電話経由での取り扱いを考える場合、一旦はハブとなる人物に集約したうえで、連絡窓口を一本化するような体制を考えるのではないでしょうか。 そのような運用下では、相談ハブとなる人物の負担や、社内でのコミュニケーションコストが懸念されます。
その点、AWSのサポートサービスはエンジニアがアクセスするコンソールから自由に利用でき、利用料が定額で時間や件数の制限もありません。 全エンジニアに窓口を開放し、自由に使ってもらえるというのは、サポートの有効活用という視点で優れていると考えています。 現に当社では社内で月に40件超のサポートケースが起票された実績もあり、積極利用できる環境が整っていると考えています。
技術支援の提供
サービスの利用を検討するにあたっての情報収集手段も、AWSが優れていると考えるポイントのひとつです。
サービス情報のキャッチアップ
サービスの安定提供のためには、基盤の仕様変更を事前察知できる情報が不可欠です。 AWSサービスについては、仕様変更についての通知も管理しやすく、かつ通知先を柔軟にコントロールできます。

当社ではこのような通知サービスも有効活用しながら、サービスに影響しうる仕様変更をタイムリーに把握できています。
セミナーの活用
AWSでは技術セミナーを多数開催されており、当社もエンジニアの育成に有効活用しています。 例えば以下のように、参加者が 本ブログにレポートを記載しているものもあります。
AWS JumpStart 2024 for NewGrads に参加しました! tech.motex.co.jp
こういったセミナーをこまめに提供してもらえるところが、技術者育成の観点でたいへん助かりますね。
技術相談
設計に迷う際の相談相手として、ソリューションエンジニアへの相談が気軽にできるというのも評価ポイントです。 AWSには、我々のビジネス背景を把握した担当エンジニアを配置いただいており、日常的な困りごとに対して気軽に支援を得られる関係を構築できています。 また、困りごとに応じて専門のエンジニアによる支援も得ることができ、当社エンジニアの課題解決やノウハウ取得に役立っています。
具体的な相談内容について詳細はこの場でお伝えできませんが、 例えば本ブログでご紹介している記事の中にも、技術相談での支援のもとで得られた知見が多く生かされています。
精度の高い技術支援を気軽に利用できる点は、当社がサービスを開発運用するうえでの大きな力となっています。
支援メニューを有効活用するために
エンジニア管理側の立場としては、得られる支援メニューを最大限活用し、当社エンジニアのスキルアップやサービスの強化に繋げたいと考えています。 そのため、上記のような支援をエンジニアへ届けるための制度施策を日々考えています。
今回は、支援メニューの活用を推進するために当社で行っている施策を、簡単にご紹介したいと思います。
サポートケース起票ガイドの作成
エンジニア誰もがサポートへ直接アクセスできることはメリットですが、一方で、よい支援を貰うには質問側にもコツが必要です。 サポートサービスへ的確に伝わる質問文を作成するには、国語力など、エンジニアが得意とする領域とはやや異なるスキルが要求されるのも事実です。 過去のサポート事例を分析すると、質問がうまくまとまらずにやり取り回数ばかりが増え、サポート支援を有効活用できないシーンも見受けられました。 そこで、以下のようなサポートケースの起票ガイドを用意しました。

こうしたガイドも活用してもらうことで、解決したい課題の真髄が素早く伝わるように工夫しています。
定例相談機会の確保
担当エンジニアに声掛けすればいつでも相談に乗って頂ける状況にはあるのですが、当社ではあえて定例で相談の機会を設けさせていただいています。 大学などで設けられる教員との相談タイムになぞらえて、当社ではこの定例相談会を「オフィスアワー」と呼んでいます。
あらかじめ定例の時間を用意したうえで、議題を募集する形式としたことで、個別の連絡調整なく多彩なディスカッションを行えています。 コミュニケーションに不慣れなエンジニアでも議題を気軽に持ち込める雰囲気づくりを意識しています。
これだけ密接なコミュニケーション機会をご用意いただけるのは、 AWSを利用した開発を複数チームが大規模に進めている、当社ならではのメリットと考えております。
おわりに
AWSを選定する理由について、リソースの単価など数値化しやすいものとは少し異なる視点から振り返ってみました。 皆様がパブリッククラウドサービスを検討される際の一助となれば幸いです。
