
はじめに
こんにちは、クライアントチームの藤井です。
本記事では、Windows 11 バージョン 25H2 への移行方式(enablement package(以下eKB) と feature update(以下FU))の整理と、実務上の注意点をまとめさせていただきました。
掲載内容は公開時点の公式情報および社内検証結果に基づきます。
Windows 11 25H2 リリース時に調べたこと
新OSがリリースされる際に、私たちはリリースに伴う公式情報の確認をして、LANSCOPEの改修が必要かを検討します。
例えば以下のようなものです。
「KB5054156: enablement パッケージを使用して、Windows 11 バージョン 25H2 に機能を更新する」
その記事の中には、以下のような記載があります。
前提条件
enablement パッケージを使用してバージョン 25H2 Windows 11に更新する前に、バージョン 24H2 Windows 11を実行している必要があります。 この更新プログラムを適用する前に、次の前提条件がインストールされている必要があります。
ここを読み、「バージョン 24H2」は「バージョン 25H2」に上げることができるんだ、ということはわかります。
ただ、この記載で触れられていない「バージョン 23H2以下」について「バージョン 25H2」に更新ができないのではないか?
という疑問と混乱が生じます。
(今回は特にある事情から混乱が大きかったのですが、そのことは「さいごに」の箇所で記載させていただきます。)
まず、疑問への答えとして、以下のいずれからでも「バージョン 25H2」へのアップデートは行えます。
・「バージョン 24H2」
・「バージョン 23H2以下」(※)
※Windows 11 22H2, 23H2 から 25H2 へは実際に社内で端末のアップデートを確認しました。
確かに、eKB では「バージョン 24H2」からしか「バージョン 25H2」へのアップデートはできないです。
ただし、FU では「バージョン 23H2以下」でも「バージョン 25H2」へのアップデートはできます。
どういうことだろう? と思われるかもしれません。
私も調査をしていくまではよくわかりませんでした。
ここからはその点について説明します。
eKB と FU についての整理
以下の定義で説明を進めていきます。
・eKB とは「有効化パッケージ」のことです。
・FU とは「機能更新プログラム」のことです。
Windows 11 の23H2から25H2までを例にとり、大まかに「FU」と「eKB」のイメージを説明します。
| リリースバージョン | 搭載機能 |
|---|---|
| 23H2 | [23H2までの機能群] |
| 24H2(最新月次アップデート適用済) | [23H2までの機能群] + [24H2での追加機能] + [25H2での追加機能(無効)] |
| 25H2 | [23H2までの機能群] + [24H2での追加機能] + [25H2での追加機能(有効)] |
23H2を25H2にアップデートするにあたって、23H2は25H2になるための機能をそもそも持っていません。
そのため、機能を足してあげる必要があります。
機能を足してOSに大きな変更を加えるのが「機能更新プログラム(FU)」です。
表の24H2のようにすでに機能を持っているのであれば、機能を追加する必要まではありません。
そのため、機能を有効化するだけで新OSとして動くことができます。
既にある機能を有効化するのが「有効化パッケージ(eKB)」です。
有効化パッケージはファイルサイズとして軽量であると言われることがあります。
この点について無効から有効へのフラグ書き換えだけなら納得いただけるかと思います。
まずは、OSがアップデートされる場合には、
・FU で機能が大きく追加されるパターン
・eKB で無効化状態の追加機能が有効化されるパターン
これらが仕組みとしてあることをご認識いただければと思います。
ただ、eKB は適用が早く便利ですが、リリースバージョン以外にも満たすべき条件もあるようです。
先ほど、上記表では「24H2(最新月次アップデート適用済)」と書きました。
これは、「24H2を25H2にするために必要な機能」は24H2が最初から持っているわけではなく、「25H2リリース時点の最新の月次アップデート」に含まれているためです。
このことは、マイクロソフト公式のブログで以下のように記載されています。
有効化パッケージについてご存じない方のためにご説明すると、Windows 11 バージョン 25H2 の機能は、バージョン 24H2 の最新の月次アップデートに含まれていました。ただし、これらの機能は非アクティブで休止状態でした。有効化パッケージは、バージョン 25H2 の機能を有効にする小さなスイッチのような働きをするため、Windows 11 バージョン 24H2 からバージョン 25H2 へのアップデートは、通常の Windows 月次アップデートとほぼ同じ期間で実行されます。
eKB を用いたアップデートの適用にあたってはこうした点があることもご理解いただければと思います。
eKB を用いた OS アップデート業務の改善
eKB や FU を Windows のユーザーや管理者が普段あまり意識することがなくあまり馴染みはないと思いますが、使いこなせれば、役立つものになります。
ある OS バージョン間での eKB の有無や利用条件を満たしていることを確認の上、Windows の OS アップデートを行えば、業務の停止時間を大きく削減できるかもしれません。
ぜひ、積極的に意識、活用いただければと思います。
eKB 可能なアップデートと FU 必須のアップデートのまとめ
・コードベースが同じで、月次アップデートなど条件を満たせば、eKB が利用できる元先のリリースバージョン
・コードベースが異なるなど、変更が大きく FU でのみアップデートが必要な元先のリリースバージョン
これらを整理して表にまとめました。
可能な限り古い eKB を探したところWindows 10 1909頃のものまで遡れましたので、そのあたりから表にしています。
Windows 10
| OS | 元バージョン | アップデート先バージョン | 更新形態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| Windows 10 | 1809 | 1903 | FU のみ | ここからeKB対象になるバージョン系列へ移行 |
| Windows 10 | 1903 | 1909 | eKB 可 | ビルド:18362 → 18363 |
| Windows 10 | 1909 | 2004 | FU のみ | ビルド:18363 → 19041 ※大きく変化 |
| Windows 10 | 2004 | 20H2 | eKB 可 | ビルド:19041 → 19042 |
| Windows 10 | 20H2 | 21H1 | eKB 可 | ビルド:19042 → 19043 |
| Windows 10 | 21H1 | 21H2 | eKB 可 | ビルド:19043 → 19044 |
| Windows 10 | 21H2 | 22H2 | eKB 可 | ビルド:19044 → 19045 |
※Windows 10 の 2004、20H2、21H1、21H2、22H2はいずれの組み合わせも eKB での更新が可能です。
・2004、20H2 から 21H1 への eKB(KB5000736)
・2004、20H2、21H1 から 21H2 への eKB(KB5003791)
・2004、20H2、21H1、21H2 から 22H2 への eKB(KB5015684)
Windows 11
| OS | 元バージョン | アップデート先バージョン | 更新形態 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| Windows 11 | 21H2 | 22H2 | FU のみ | ビルド:22000 → 22621 |
| Windows 11 | 22H2 | 23H2 | eKB 可 | ビルド:22621 → 22631 |
| Windows 11 | 23H2 | 24H2 | FU のみ | ビルド:22631 → 26100 ※大きく変化 |
| Windows 11 | 24H2 | 25H2 | eKB 可 | ビルド:26100 → 26200 |
さいごに
古くからある eKB ですが、今回、25H2の対応に際して、特に eKB に注目することとなり、現場の混乱が生じたことには理由がありました。
以下、25H2 のリリースに関連した時系列です。
・2025/9/30に「Windows 11 25H2はeKBで提供します」との記載がありました。(※1)
・その後(正確な公開日は分かっていませんが)、Feature Update(FU)に触れた記事で「2025/10/14に機能更新プログラムをWSUSで利用可能になります」との記載がありました。(※2)
・別記事で、25H2について「2025/10/16時点の状況としてWindows Updateについて更新プログラムが利用可能か確認できる」との記載がありました。(※3)
結果的に現在は、FU が提供されていますが、9/30から10/14までは eKB のみが提供されていた期間があったと思われます。
そして、この期間は、23H2 以下の環境を直接 25H2 にアップデートさせることが実際のところはできなかったのだろうと思われます。
FU の情報をまだ拾えていないタイミングで、私たち新OS対応チームは23H2 以下の端末を 25H2 に上げるためのサポートはどうすればいいんだろうという混乱に陥ってしまいました。
振り返ってみれば、 eKB と FU の違いを理解した上で、
「eKB が使えるのは分かった。では、FU はいつ使えるようになるんだろう。Microsoft に聞いてみよう」
などと動けていれば、各アップデート方法への対応を冷静に行えたかもしれません。
Windows のアップデート周りの動きはまだまだ奥が深いように感じますが、知見を蓄積し、新OS対応のアプローチをブラッシュアップしていきたいと思います。
※1 Windows 11 2025 アップデートの入手方法(2025/9/30の記事)
Windows 11 バージョン 25H2 は、有効化パッケージ (eKB) として提供されます。
※2 What's new in Windows 11, version 25H2
[重要] Windows 11 バージョン 25H2 は、Windows Server Update Services (Configuration Manager を含む) を通じて、2025 年 10 月 14 日から利用可能になります。Windows Server Update Services (WSUS) または Configuration Manager を通じて更新プログラムを管理している場合、その日付まで更新プログラムは表示されません。
※3 Windows 11 バージョン 25H2 の既知の問題と通知
2025年10月16日現在の状況
本日より、Windows 11 バージョン 25H2 (Windows 11 2025 Update とも呼ばれる) が、設定「最新の更新プログラムが利用可能になったらすぐに入手する」をオンにしているすべての対象の Windows 11 デバイスで利用できるようになります。対象の Windows 10 または Windows 11 デバイスをお持ちの場合は、 [設定] > [Windows Update]を選択し 、 [更新プログラムの確認]を選択して、更新プログラムが利用可能かどうかを確認できます。デバイスで更新の準備ができている場合は、Windows 11 バージョン 25H2 をダウンロードしてインストールするオプションが表示されます。詳細については、 このビデオをご覧ください。 IT部門の管理下にないWindows 11 HomeおよびProエディションのデバイスは、 Windows 11バージョン25H2へのアップデートが自動的に適用されます。 デバイスの再起動や アップデートの延期のタイミングを選択できます。